協議離婚時に離婚公正証書を作成しておけば、次のようなメリットを享受できるとされます。
<公正証書の安全性>
公証人が作成した公正証書の原本は、公証役場において原則20年間保管され、紛失、盗難、偽造、変更等の可能性が低く、将来のトラブル発生の予防が期待できます。
<公正証書の執行力>
養育費、慰謝料、財産分与等の支払が滞っても、公正証書に債務者が強制執行に従う旨の文言(強制執行認諾文言)が記載されていれば、裁判によらずに、不動産、動産、給料債権、預金等を差し押さえることができます。
子の養育費を確実に支払ってもらいたい等の事情がある場合には、強制執行認諾文言付離婚公正証書の作成を希望される方が多いと考えられます。
<公正証書の証明力>
公正証書は、公証人という公の立場にある者が作成する書面であり、民事訴訟法上「公文書」であるとの推定を受けるため、直ちに、公正証書を証拠として採用できるとされます。
この点、離婚条件を離婚公正証書ではなく離婚協議書等の私署証書で取り交わすと、あの時脅されて署名押印した、その署名は他人の署名である等と主張されて有効性に関して争いになることがあります。
もし離婚条件を離婚公正証書で取り交わしておけば、公正証書は、厳格に身分の確認(運転免許証、写真付き個人番号カード、印鑑証明書等)を行うため、上記のような主張は格段に少なくなるといえます。
後腐れなく協議離婚したい場合には、離婚公正証書を作成することは重要と考えられます。